人間力を磨く

「試練が人間を磨く」 桑田真澄 扶桑社文庫より

試練を克服してこそ、自分は磨かれるのだ。生きる目的は、自分を磨くことだと僕は思う。だから試練や困難は、僕に与えられた砥石なのだ。僕はいつもそう思っている。どんなことにでも、常にポジテイブに向かっていくのは、ひたすら自分を磨くためだ。

僕はプロ野球の選手だから、野球を通して自分を磨く。とにかく常に前向きに、自分を磨くことに集中したいというのが、自分の人生に対する基本的な姿勢だ。僕は悪い年、結果に恵まれなかった年だって、前向きに努力して、自分を磨くことができればそれで満足だ。
僕も実は弱い人間だ。しょっちゅう挫けそうになる。成績が悪かったり調子がでない時はとくにそうだ。でも「これではダメなんだ」といつも自分に言い聞かせて頑張る。自分を励し励し頑張っている自分自身の姿が、僕は最高に好きだし、最高に幸せだ。それが自分を磨くことにつながる。

だから最悪だった2年が終わって、それから充実感があったとき。「これは自分が磨けてきたな」と感じた。普通なら「何やってんだよ」と自分でも嫌になってしまうところだけれど、「よくやったな」と思うということは、よく努力したということだから、「ああ、悪いシーズンでもこういうふうに思えたら、幸せだな」と考えたわけだ。どんなときにも、いかに自分が努力をしたかで、評価したいと思っているのだ。人生はだいたい局面局面で二者択一を迫られるものだ。その際、易しい道と険しい道とがあれば、僕は険しい道を選ぶ。そうするように自分で努力している。やっぱり人間だから易しいところに行きたいのが普通だ。楽なほうに。

野球に限らず、これまで本当にいろんなことがあった。27歳で他人の一生分ぐらいの経験をさせてもらったかもしれない。改めて振り返ってみると、いつも難しい、険しい道を選んでこれたから、今の自分があるんだと思わずにはいられない。
自分を磨く、僕はとくに、<<人間力を磨く>>ということを常に考えている。「大物とは、金持ちでも有名な人でも、名誉がある人でもない。人間力の素晴らしい人だ」と考える。

要するに人間力というのは、すべてのことにありがたいと思える心を持ち、いつも毅然とした態度で、常に気持ちが大きく、何ともいえない大きさを感じさせる人間に、備わっているもの。人間力に到達点はない。無限だ。限界がない。
悔いが残るような生き方はしたくないし、してないつもりなのだ。だから自分を磨くこと、人間力を高めることに、とにかく日々集中して生きていきたい。
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