現場の職員が一番偉い

 王貞治は1980年のオフ、現役を引退し、巨人軍の助監督に就任した。王を交えて家族で朝食をとっていると、当時小学3年生の三女 理沙が恥ずかしそうに、父親に尋ねた。「お父様は偉くなったの?」

 選手から助監督になった父親が連日、新聞やテレビで大きく映しだされる。プロ野球に詳しくない幼い子供でも、学校の友人ら周囲の人間から、「お父さん、すごいのね」と口々に言われていたのだろう。だが王は静かに言い聞かせた。
「ちがうよ。偉いのはお父さんじゃないんだ。一番偉いのは選手なんだよ」最も偉いのは監督ではなく選手である。この考えは、会社を経営する社長ではなく、現場を生きる部下こそが偉い、というものと同じである。

 この考えはリーダーのあり方、サーバント(奉仕する人)として尽くすとういう考え方である。一般的にリーダーとは上から指揮命令をして、部下を動かす。しかし、サーバント・リーダーシップにおけるリーダーは、部下を信頼して支える献身的な心を持った存在であり、部下と深い信頼関係で結ばれている。

 常に現場を大切にし、部下を支えて動く姿勢は ある意味でキリスト教の奉仕の精神に通じるかもしれない。

 人を統率して勝利に導く。リーダーは、部下の能力や魅力を引き出す環境を作ることこそ、仕事である。

 選手は活躍するとテレビにも出て、賞賛を浴びる。しかし、グラウンドを整備する人たちは賞賛を浴びることはない。しかし、選手の陰で、環境を整え、奉仕してくれている人々のおかげでプレーできているのである。

 我々 医療職も現場で、医療品の手配や環境の整備などを行ってくれている看護助手さん 配送の方々 給食を作ってくれている人々のおかげで仕事として成り立つ。また、深夜、看護師さんが患者さんを看ていてくれるおかげで、我々医師は夜間 休むことができるのである。すべての人々のおかげで仕事ができるのである。ともに全職員に感謝して、仕事を押し進めよう。
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